伊与原新、間違いなし。
今回読了本は「本屋大賞」と「第164回直木賞」の候補作となった、
伊与原新 著「8月の銀の雪」。
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以前「月まで3キロ」を紹介したのだけれど、これも同じく短編でいろんな科学的なことがちりばめられていて私にとっては1粒で2度おいしいみたいな感じになっている。
浅田次郎さんの短編集と雰囲気が似ていると思うのだがどうだろう。
この本は、以前「52ヘルツのクジラたち」(町田そのこ著)を勧めてくれた同僚から勧められて(というか、私が「月まで3キロ」を激熱で語った過去があり、「同じ著者の新しいのがお隣の図書館に入っていたよ」と教えてくれて)読んだ。
この同僚、部署が違うのだけどたまにすれ違うときに本情報を交換しあっている。というかもはや本に関しては私の師匠かもしれん。
んで、やっぱり最近読んだ本の中では一番おもしろかった。
ので、伝えたところ、同僚もそうだったようで、
「でも、多分人生経験的なものによって、この話がわかるひととわからないひとがいて、それでこのひと、賞レースうまくいかないんだと思うの」
本屋大賞はそれが顕著だよね。
とおっしゃられた。
わかる…。
「52ヘルツのクジラたち」とか「流浪の月」とか賞を勝ち取った本たちは(すべてではないだろうけども)テーマがわかりやすい。そして、わかるの「度合い」は違うだろうけれど読んだ人たちのほとんどが「一体何の話なのかわかるし、説明できる」というのは大きいと思う。投票制の本屋大賞だと特に。
伊与原新さんの作品は、それが難しい。
というか、人生経験の違いによって共感できない、わからないというひとがどのくらいかの割合でいるだろう、というのはわかる。年配の人でもわからないひとには伝わらないだろうし、10代のひとでもわかるひとはわかる。
それから「お話の内容を説明する」というのも難しい。テーマが明確に示されているわけではないからだ。
それを踏まえても、オススメしたい。いい本!
表題作とケイソウの話が好きだった。