のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

2021年6月末、最近読了した小説2作

 もぞもぞと読書をしています。ちなみに読書はとっかかり(最初の段階)が大事だと思う。そこで惹きつけられるかどうかがその後の読書時間を左右する、そう思う。

 というわけで、まずは1冊目

 

魂手形(たまてがた) 宮部みゆき

三島屋さんの百物語。中編3作。文句なしの面白さ。怖い、というより悲しい話3つであった。この著者の、はずれがない安心感たるや。いや全部は読んでないけども(内容がつらすぎて読めていないシリーズがある)、安心と信頼と実績の…という感じ(どんなだ)。ホラーと時代ものが好きな人にはおすすめ。

 1,2日で読了。

 

2冊目

オルタネート 加藤シゲアキ

 基本的に著者が有名人であるものはあまり読まない。理由は単純で、読んでる最中にどうしても著者がよぎってしまうからだ。あ、劇団ひとりさんの本は読んだ。陰日向に咲くはよい本。

 話を戻そう。私はNEWSのことはあまり詳しくないが、名前を聞いたらすぐに顔が思い出せるくらいにはわかるため、今まで著書を手に取っていなかった。

 ただあれだ、

 本屋大賞ノミネート

 第161回直木賞候補選出

 第42回吉川英治文学新人賞受賞

 高校生直木賞受賞

 

 …読め、と。この畳みかけるような感じは読めということなのか。

 又吉直樹さんの本さえ読んでいないのに。

 というわけで読んだ。物は試しである。

 そして読了後、出した結論は3つである。

1.すごい時間がかかってしまった。三か月くらいかけて読んだ。

2.10代だったらささるのかもしれなかった。感性がもうオバチャンなのでささらないのかもしれない。私は世の中で称賛されているものを賞賛できないと、ちょっと自分の感性を疑ってしまうタイプなのだ。でも本心を素直に言うとそんな感じだ。

3.おしゃれしょうせつ

 

 いやわかってる。わかってるんだよ、一つの作品を生み出し、そして完結させる胆力たるや素晴らしいということは私にもわかっている。すごいことだ、私にはできない。

 それを踏まえて、感想を述べてみた。

 

 私にはいくら世間で絶賛されていようとも苦手な本、というのが3つある。

1つは「浜崎〇ゆみさんの歌の歌詞みたいな小説」で、具体的に言うのであれば、

 この汚れた世界の中でキレイなのは私と君だけ、といっていそうな小説。

 ちなみに、僕でも俺でもあなたでもなく君ってところがポイントね!

 結構ある。私には向いていない。

 

2つめ、問答無用の勧善懲悪型小説。

 話の登場人物が2分されており、物語上で「善い人」分類された人であればどんな悪い行いをしようとも強引な理由付けで「善い行い」となってしまい、逆に「悪い人」に分類された人が善行を行っても強引で独りよがりな理由付けをなされて「悪い行い」とされてしまうような小説。

 たとえば、Aさん(善人)がBさんを殺しても、Bさんは悪人だったからむしろ殺すのは正義、みたいになり、逆にBさん(悪人)が人助けをしても、それは〇さんに取り入るためだった、とかお金をだまし取るためだった、とか強引な探偵みたいに主人公(善人)またはその周囲の人間(善人)から理由付けをされて全ての行動が「悪」扱いされてしまう、みたいな小説。

 わりとあるんですよ…。はっきり言う。キライ。

 

3.おしゃれしょうせつ。

 これは説明が難しい。実は村上春樹さんの本がここに分類されている、といえばわかる人にはわかるのかもしれない。

 私の実体験やこれまでの経験や今まで見てきたメディアや学んできた学問など、そんな私のアイデンティティーとどうしても触れ合えない小説、という感じ。磁石のN極同士みたいな。妙に宙に浮く。小説からおしゃれな空気は漂うものの、その匂いや音など、あるべきはずの本の中の「生活」が私の中に浸透してこない。

 致命的だなと思う。そして致命的なのはおそらく作品自身ではない、多分私のほうなのだ。

 SFや洋書がダメというわけでもないんだよ。「夏への扉ハインライン著)」はめちゃ面白かったし「わたしを離さないで(カズオ・イシグロ著)」も面白かった。

 

 

 今回の「オルタネート」は私の中の「おしゃれ小説」だった。作品中におこるたくさんの出来事が私の上を滑っていってしまった。大変申し訳ないことである。

 きっとこの作品がすごくささる人たちがいる。たくさんいる。

 でも私にはそうではなかった、というただそれだけの話である。

 それは大変さみしいことである。

 

 これにめげずに次の本を読むよ!ほんともーざんねんだったー!