のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

「かが屋」を知らない人が「おおあんごう」を読む。2022年6月あたま。

私はお笑いコンビ「かが屋」を失礼ながら存じ上げない。

お笑いに「そこそこ詳しい(本人談)」後輩に聞くと「あ、結構おもしろいですよ」と言っていた。売れてないことはない、お笑い好きな人は知っているんじゃないですかね、ということだった。そうなのか。知らなくてなんかごめん。

 

 で、知らないのに読んでみた。というか知らないからこそ、読んでみた。知っているとどうしても読んでいるときに著者のイメージがよぎってしまうので、又吉直樹さんの本や加藤シゲアキさんの本を基本読めていない(「オルタネート」は読んだけども)。

 

今年14作目。

おおあんごう 加賀翔 著

 

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 とんでもない父を持つ小学生の生活、の小説。

 この、純粋で優しくて繊細なサバイバーをカエルのぬいぐるみごと抱きしめてやりたい。少年、君はよくやった。

 その父は、善悪の判断はできるが、細やかなことは全く理解ができない、そういう人だ。そしてそれは多分、直らない。まず理解する、というところから困難だろうと思う。

 お母さんの決断も、それから大人になってからの君の行動も、正しい。

 この小説の内容にも、配慮とその優しさがうかがえる。君は、よくやった。

 実は、この本を数ページ読んで、読むのをやめようかと思った。私自身はこのような現実を生きていないが、これに近い現実を今生きる人がいることはわかるし、実際に会ったこともあることから、あまりにもわかりすぎ、つらかったためだ。

 最後まで読んでよかった。

 

 この本を読んで一歩を踏み出せる人がきっといる。

 この本を読んで、自分だけじゃなかった、と安心する人がきっといる。

 この本には救いがある。

 

 どの立場で物をいうかと思われそうだが、やっぱり言う。

 この本を世に出したことも含めて、

 

 少年、君は、よくやった。