のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

梨木香歩さん。「今」に刺さる言葉がたくさん、2024年5月下旬。

 聴いてください。
 先日友人とカフェでランチをしていたら、お隣のご夫婦の奥様から
「私今80代なんだけど、あなたが今着ているお洋服が、自分が若いころに着ていたお洋服にとっても似ていて思わず声をかけてしまいました」
 と言われてニコニコ。
「ご明察です!これは昭和初期デザインの型紙で私が作りました!」
 と食い気味で応える私。自信作です!後ろのファスナーおかしいけども!
 そんな昼下がり。お店を出るときにはお店の方からも
「すごいですねーそれ手作りなんて!」とほめられニコニコニコニコ。
 自己肯定感爆上がりの昼下がり。あー嬉しかった。ご清聴ありがとうございました。
 これからも皆様ぜひお声がけください(←褒められ待機中)。

 

 さて。今年10作目。
僕は、僕たちはどう生きるか 梨木香歩 著

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僕は、そして僕たちはどう生きるか [ 梨木香歩 ]
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 も、もりだくさんの内容です。読み終えるのに時間を要した。いや、内容的には盛沢山でもないのか。主人公が友達のおうちに行ってお庭を散歩して土壌動物調べてBBQするだけなので、1日の話なんですよね。でも
 性加害と搾取、不登校、徴兵制、戦争、地域開発、環境問題などなど様々な問題がてんこもりでちょっと待ってちょっと待って、となる。一つ一つ考えるのに頭が追い付かない。

 ただ、この本を主となって読むであろう中高生向けに著者が訴えたいことが多分これなんだろうな、と思う。ものすごく中高生を思いやった警鐘だし、分析だし、対策にもなる。

 

 私たちは突然のできごとにきちんと向き合い対応することが難しい。人の悪意や無意識の差別にぶつかった時、基本的にはフリーズするか違和感を感じていてもその場をやりすごす人がほとんどだと思う。後から「おかしい」ということに気づいて、でも気づいたときには全てが終わっていて、反論の機会は過ぎている。そんなことはざらにある。
 ましてや若者、女性、子供、老人…社会的弱者であればなおさらかもしれない。

 

 その「きちんと整理ができないけれど嫌だったこと」「嫌なもの」「自己嫌悪に陥ること」をしっかり言葉でほぐしてくれているのがこの本のすごいところ。引用したいところがたくさんあるけれど(10個くらい)、何だか著作権とかそのあたり詳しくないので…どうなんだろう。

 

「それが国のやり方だ。国が本気でこうしたいと思ったら、もう、あれよあれよという間の出来事なんだ、って。」

 

「ドイツとかギリシャとかはちゃんとそういう制度(良心的兵役拒否)があって、宗教的理由とか、自分の思想と合わないということを言えば、軍隊に行かない道もあるんだ。日本ではどういうわけか、あまり知らされていないんだけど」

 

 とかはとても今(この本は2011年春に出ているけれど)に響く言葉だなと思いました。心に留めておきたい。

 

 良本です。主人公が不完全で失敗しつつも一生懸命自分で考えようとするところがとても良い。時間に余裕があるときにどうぞ。