今年の25作目読了です。
ぼくはウーバーイーツで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた 斎藤幸平 著
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えー、実は下記の日記で少々内容に触れています。
~ 著者は経済思想、社会思想の研究者なんだけども、一つ一つの章が短いせいなのかわからないけれども、
なんかおしゃれ。
なのでちょっとなんかイラっとする…のはなぜなのか。~
と書いた。
なぜ自分が苛立っているのかを考えながら読んでいったのだが、読みながら
ああ、社会問題の中に入っていきながらも学者であり研究者である著者が安全な位置(少なくとも生活に困っておらず、問題を抱えていない)にいることに苛立ったのかなと思った。その苛立ちは、同様に問題を読む「だけ」の私自身への苛立ちでもあった。
寄り添うことも著者のように踏み出すこともしない自分への苛立ち。
著者もまた後半(水俣の章など)で、
「問うだけの側」に安住している自分の軽薄さが耐えられなくなった。
と記している。
とてもよくわかる苦悩だ。心を寄せつつも研究者という立場で俯瞰せねばならない。それを繰り返すと心はすり減っていく。
思うところがあったのか、それとも読者である私の心情の変化か、心なしか前半より後半にいくほどトピックが掘り下げられている気がしてならない。
ウーバーイーツ、テレワーク、エコファッション、水俣病、外国人労働者、アイヌ、食料問題、気候変動…。
一人ではとても解決しがたい問題の数々。
世の中にはこんなにもたくさんの問題が溢れていて、苦しんでいるひとがいる。
解決しがたい問題の糸口を、ヒントを。
得たい。でもその前に知らなければ。
そして自分にできることを。と、著者はとにかく急いでいっぱい体験して、いっぱいインタビューして、すばやく発信したかったんじゃないかな、と思った。
1個1個が軽いのは仕方がなかったのかもしれん。もう少しだけ、1個1個掘り下げてほしかったけどもそれはちょっと贅沢だったのかもしれない。
ちなみになんとこれ、2022年11月に初版が発行されていて、私の購入時(9月だった)に書店に並んでいた本が2023年3月発行の6版である。すごい売れてる!!
世の中の問題を、問題意識を持って読もうという人がいっぱいいるんだなあと思うとなんだか世の中捨てたもんじゃないなと思ったのであった。
私は幸いにも、今の仕事で「社会問題」の一部に触れている。私もまた、誠意を持って今目の前の仕事を全うしたい。掬い上げられるものがあるかもしれない。と思った。
あとこの本がちょっと気になった。買うかな。
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