のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 5

5.抗体検査とは何か

 

 2月以降、ゲットしていた3種類の舞台公演がことごとく中止になりその返金手続きに追われているしむらです。ごきげんよう。そしてまたね、もりたさんながのさんさかもとさん…(こんなときだけ抽選に1つも外れていない人)

 

 …さて、気を取り直していきましょう。抗体検査です。たびたび物議をかもしていますね。

 ただどうやらインフルエンザの簡易検査と同じようなもの、という誤解があるようです。

(1)インフルエンザの簡易検査とは何か

インフルエンザの簡易検査は、インフルエンザに感染している可能性のある人になされる検査です。大きな綿棒みたいなもので鼻の粘膜を採取し、そこに目的のウイルス(インフルエンザウイルス)があるかどうかを判断します。
「抗体」という、ウイルスに敏感に反応するタンパク質を利用した検査です。
 たくさんウイルスがあると反応します。精度はかなり良いです。
 が、この日記の「予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしたいと思う2」で話しましたが、ウイルスは「① 細胞内に入る」→「② 増える」→「③ 細胞外に出る」を繰り返して増えていきます。この検査だと「粘膜(←細胞じゃない)内のウイルスの有無」を調べますので、③の状態にならないと陽性反応(ウイルスがいるよという反応)が出ません。しかも「たくさんのウイルス」に反応しますから、何度か①~③を繰り返す必要があり。つまり感染初期だとウイルスを持っていても結果が出ない可能性があるので「また明日検査してみましょう」とか言われたりします。
 ちなみに抗インフルエンザ薬の「タミフル」や「リレンザ」などは、日本においては原則としてインフルエンザと診断された人にしか投薬されません。
アメリカとかだと家族が感染してると予防薬として処方されたりする)

(2)今噂になっている「抗体検査」とは何か

 抗体検査はその名前の通り「抗体が血液中にあるかどうか」を検査するものです。「抗体」というのは、「生物が体内で作る、病原菌やウイルスを捕まえるタンパク質」のこと。特徴としては、病原体ならばどれもこれも捕まえるわけではなく、ターゲットになった病原体のみを捕まえることです。つまり新型コロナウイルスには「新型コロナウイルス用にあつらえた抗体」を体内で作り出してる、ということです。

 作り出す抗体は5種類。Ig(アイジー。イムノグロブリンの略。免疫グロブリンとも言います)、A,D,E,G,M です。ここではその性質上、GとMについてお話します。

 一番有名なのがIg Gです。大体「免疫」とか「免疫グロブリン」と言われたらこのIgGを指しているといって過言ではないでしょう。血中抗体の中で70~75%を占める量で、病原体に感染すると数日で体内にて生産、7~10日で量産されます。

一方IgMは、血中Igの10%を占め、感染後すぐはたらきます。

 このIgMとGが血液中に存在するかを検査するのが抗体検査です。

 それぞれ感染初期→IgMを調べる
感染から時間が経過している→IgG を調べる

 という感じでしょうか。検査2回。必要なのは血液2滴。

 

 精度は前述したように100%ではありません。世の中に絶対はない。
また、「新型」なのでこの抗体検査の精度に関しては正確な数字がわからない、信ぴょう性が疑わしい、ということがデメリットでしょう。(PCR検査は精度についての大体の数字が出せています)
個人的には、世の中に抗体検査キットが出てきたのが速すぎることがひっかかっていますがまあまあ…。
でもメリットも大きく2つあります。

1つは、検査結果が出るのが速いことです。その分陽性の患者さんの隔離を迅速に行え、二次、三次感染者を防げます。
2つめは、血液を検査することです。抗体は血液中にあります。血液1滴でわかります。
新型コロナウイルス飛沫感染(または空気感染)と言われていますから、検体採取時の、検査をしてくださる医療従事者方々への感染リスクを劇的に低くできるはずです。

 この「抗体検査キット」を、白衣で有名な「クラボウ」さんが今超特急で製造してくださっています。他の追随を許さないくらいぶっちぎりで迅速なのは、おそらく感染拡大のニュースが出る前から、似たようなウイルスについてたまたま研究なさっていたのだと考察します。加えて、かなり特殊な製造設備が必要なのですが、それをお持ちだからだと思います。ともかくもがんばってほしい。

(3)おまけ。リアル友人に聞かれた「ワクチン」や「簡易『ウイルス』検査キット」について

 ワクチン(予防接種)はいつできるか。

 ワクチンはできます。ただ抗体薬とかワクチンとかの製造は特殊な設備が必要です。

そして世界的にその製造設備の不足が指摘されていますので、量産がどのくらいうまくいくかもなかなか難しいところですが、
ワクチンの製造は新型ウイルスが出てきてから最短6か月と言われていますので、早くて7月頃の登場になるのではと思います。ただ、奇跡的に超絶うまくいって「6か月で開発成功」ってことです。そのあと臨床試験とかいろいろあるから市場に出るのはいつになることか、推して知るべしです。また、長い目で見ると、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスのように次々と変異していくと考えられますので、かからない(かかっても重症化しない)ようにするためには今後定期的に予防接種を受ける必要が出てくるかと思います。

 

「簡易『新型コロナウイルス』検査キット」はできるか。

 こちらもできると思われます。ただ、まだまだ先だと思いますし、製薬会社も売れる見込みのないものは作りませんから、そこの見極めを各製薬会社がどうとらえているかによると思います。

 ちなみに前述しましたが「新型コロナウイルスをやっつける新薬」を1から作るとなったら最短でも10年はかかるかと…。なんか…希望のあるようなこと言えなくて申し訳ない…。

 

 以上、第5回目終了です。ご清聴ありがとうございました。みなさまお体気を付けてくださいね。