今年の28作目、
「戦争は女の顔をしていない」スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著
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第二次世界大戦で従軍したソ連の女性たち500人以上から聞き取った「戦争」。
看護師・電信係・洗濯係・狙撃手・飛行兵・外科医・衛生指導員・パルチザン・高射砲兵・機関士・戦車兵…
まず、分厚い本ではあるが、一人一人の証言は短いため、思ったより読みやすかった。が、内容が内容なので私はずいぶんと長い時間をかけて今読み終えた。
彼女たちが語るそれぞれの「戦争」の断片がパズルのピースとなって凄まじい戦争の実態を映し出している。著者であるアレクシエーヴィチの胆力に感嘆する。ノーベル賞も当然。傑作である。
間違いなく、全人類読むべき本。
ここに描かれた戦争から半世紀以上経過しているのに、この生々しさは現代にも通じていて、そのことがただひたすら恐ろしい。
生も死も、愛も苦しみも悲しみも。破壊された人生も。そのすべてを。
彼女たちの言葉の一つ一つを、私たちは今こそ受け止めておかねばならないのではととても思った。