ちょっと今回とりとめのない日記になりそうなんですが、早く出した方がよい気がしてまとまらないまま行きたいと思います。
仕事を早めに抜けた平日、ピアノのリサイタルに行ってきました。
早めに到着して早めの夕食をとり、いざ、藤田真央さんのピアノを聴きに。
ファンです。久々に、そして確かに好きなピアニストができた。
というわけで、広いのになぜか書斎を思わせるようなホールに到着、した瞬間、夕食を食べたレストランに本を忘れてきたことに気づく。あああああああ。この公演が終わる頃にはレストランはとうに閉店時刻を過ぎていて、そして私は遠い田舎から新幹線でやってきた異邦人…次にこの地に降り立つのは来月…あああああああ。
私は忘れっぽいため、おいしい夕飯を食べたことで本をカバンに仕舞い忘れたことを忘れ、忘れ物がないかの確認を忘れて席をたち、そのまま会場に来てしまったのでした。あああああ。
あああああ、と思いながらの藤田さんのピアノ。
前回のようにふらふらっと登場してきたなあ、と思っていたら、ふわっとなんかちょっとななめな一礼をしてピアノの前に座るやいなや弾き始められた。
まったく大変だ。やっぱりすごい音だった。先ほどまでの私の中の、あああああ、ってのを忘れた(忘れっぽい)。
私の個人的な感想(しかも音楽は素人)だけれども、
激情的でも劇場型でも、ドラマチックでもない。奇をてらっている感じも全くしない。
むしろ、そもそもドラマチックな曲で、いくらでもドラマチックに弾けそうな曲を単純にドラマチックにしないのがすごい。その様が、ご本人の意図と計算の下なのだというのは重々承知で言うけれど、
音を響かせるピアノが「このほうが良くない?」って言ってるように聞こえる…のがすごい…なんかもうピアノと藤田真央さんがカタツムリの殻と本体みたいに、くっついてるように見えてくる(例え方はもう少し考えた方がよいなと私も思っています…)。
そしてやっぱり、ピアノを手なづけているように見える。あんな御しがたいものを…ピアノがめちゃ懐いておる…令和のナウシカ……衣は黒いけどあれ紺色かなその者あおきころもをまといて…(遠くてわからないけど多分黒です)。
小さな音や派手な箇所以外のところがもう本当に丁寧ですごい。小さな音が本当に美しい。音がシャンパンの泡のように小さな球体になって浮かんでいく。
単純なトリル(2つの並んだ鍵盤を交互に弾く)でこんなに感動するとは思わなかった。なんだこりゃ。
ショパンのポロネーズ変ホ短調、嬰ヘ短調、リストのピアノソナタロ短調がすきだった。願わくは、あの足元らへんでごろごろしながら聴きたいものである。たぶんだけど楽園の夢が見られると思う。
アンコールの拍手が何度も何度も鳴り響いて、2階だか3階だかのお客様たちが立ち上がって乗りださんばかりで今にも落ちそうに見えて下からハラハラして眺めました。
拍手に何度も出てきて、2階席3階席を仰ぎ見て、何度もお辞儀をされて帰られました。前も思ったけれど、ピアノの前のとんでもない集中力を発揮しているときと、それから抜けたときの差がすごい。
アンコール曲は 遠い昔(チャイコフスキー)でした。
CDを買って帰りました。これからリサイタルに行くたびに1枚ずつ買って帰ろうかなと思った次第です。
大変よいものを聴きました。すごかった。美しすぎて、なんかもうちょっとよくわからない、となった。平日ということでちょっと無理したけれど、行ってよかった。
そういえば今回は話をされませんでした。あれはあれで面白かったのにな。
帰路の新幹線の中で、あの凄まじい集中力を思いだしながら、なんとなく、
禁煙は…失敗してそうだな…と思いました(ふと思い出した)。
忘れて置いてきてしまった私の本ですが、翌朝お店に電話してお店にあることを確認、近々お店の近くに用事がある父がついでに取ってきてくれるそうです。よかったあー。