今回の水俣病のマイク切り事件に、もー怒り心頭なので、ずっと言わずにいたことをここに書いておこうと思い立った。
でも、もうどう書いても悪口になりましたごめんなさいもうしませんたぶん。
しかしながら、今回のマイク切り事件にも通ずるところがある考え方、というか姿勢が、私が見聞きした官僚の方たちからも感じられていたので、ここに書いて供養としたいと思ったのでした。というわけでよろしくおつきあいください。サブタイトルは「解せぬ」です。
私の仕事で、官僚の人たちに会うことはゼロに近い。友人のあやさんのお仕事の方が断然接触率は高い。ちなみにあやさんは「あいつら来るとめんどくせえ」と言う。ごもっとも。
まあだけどもゼロではないので会うときは会う。私は数回会わねばならなかったことがある(特に喋ってはいないが)。
というわけで、二人の官僚の方の話をしたい(それ以前にももう二人くらい会ってると思うんだけど全く覚えていないので最近の二人を)。一人は外務省。一人は国土交通省。
一人目、外務省。
数年前外務省の人が講演したいっていうから、と間接的に手伝いを頼まれた。椅子並べたりとか椅子片付けたりとか受付やったりとかの本当に「お手伝い」として急遽参加。
いらっしゃる外務省の方は、私の好きな女優さんの一人、山本美月さんと同じ高校のご出身の方という事前情報が入っていました。地元に近いからいらしたのか、自分の母校の講演会のついでにこちらまで足を伸ばされたのか、定かではありません。
かくて、外務省の方が我らの地元に電車でやってきた。駅まで徒歩5分なので、その年の新入社員が駅まで迎えに言ったら「え、徒歩ですか?」と言われたので「はい、近いので!」って返したって言ってた。みんなでそうよねえ、うふふふふーって言う話をしたのを覚えている。年齢としては中堅の方でした。私より年上。
かくて、講演をなさいました。学生を対象とした講演会でした。
具体的な話(今やっている仕事など)は一切なく、こういう所にやりがいを感じる、という話もなく、外務省に興味のある子が聴いているはずなのに何だか要領を得ない話…と思いつつ控えていました。
ちなみに彼女の話のヤマは、某A首相が海外からの来賓を迎える際に花束を渡しました、これが私です(写真を指しながら)だった。
その直後、私の近くに座っていた高校生がぐるんとこちらを向き、すごい顔して首を傾げた。たまたま受付に座っていた私と同僚も同じように首を傾げてたので、丁度それを目撃された。三人で共有される微妙な、絶妙な得も言われぬ感情。
かくて、講演会は終了。終了後アンケートを回収。先ほど目が合った女子高校生はアンケート用紙にぎっしり書き込みをしていた。後で読ませてもらおうと思った。
会場の担当者(別部署の同僚)が数百人分のアンケートを読んでそのうちの10~20部程度を外務省に後日送るのだ。
目が合った女子高校生は、ものすごくきちんとした文章で「ところであなたは何しに来たの」という意味のことを書いていた。「外務省の仕事や思いを知りたかったのに」「花束を渡す仕事なら私にもできます」と。あっはっは。ごもっとも。ちなみに私の職場では花束を渡す係は新入社員さんがやります。
アンケートを送る係になってた同僚も同じことを思ったようで、外務省に送る中に彼女のアンケートを混ぜた。
「良いのと悪いのとを送ってください」って言われたのよね。と言っていた。
後日外務省から電話がかかってきた。アンケート届いたよありがとう、という電話かと思ったら、怒られた、と言っていた。謝ってたけど、電話を切った後、あんたらが送れって言ったんじゃん、と担当者(私の同僚)が激怒。他の自治体は忖度とかして悪いアンケートを送ってないのかもだねー、と言い合った。もうホントに器が小さいったら…。
二人目、国土交通省(男性)。
地元出身者でやっぱり講演したいとねじこんできた。たまたま大きな案件が終わったばかりだった私はやっぱり同じようにお手伝いに駆り出された。ちっ。いいけどさー。
母校でやりたい、とのことで我々手伝い班が到着したときにはすでにその高校の方が何もかも準備をしてくださっていた。印象としてはみんな「解せぬ」みたいな顔をしていた。いやホントそれだよね。私も全然意味がわからない。
かくて、ご本人が現場到着。何故か花束を抱えている。
全員で「?」ってなってたらその花をとある一人の女性にプレゼント。高校時代の恩師らしい。なるほど。いいやつだな。
先生も喜んでいらした。が、続く会話が聞こえてきた。
「で、すみません。今プレゼントしたんですがこれ(花束)、講演会の間少し借りていいですか?」
今渡して、すぐこれ?
同じセリフが聞こえていた同僚、ぎょっとしてガン見。それをつついて制す。こっちを向いてマスクとって「へんなひと!」と口元だけで私に伝えてくる同僚。あっはっは。とんでもねえの来たなー。
何に使うんだ花束、と思っていたら自分の演台に自分で飾ってた。よくわからない。きっと高校生もなんだあれ、と思ったと思う。
かくて、講演会スタート。うーん、具体性という意味では外務省よりマシ。ただ内容は自分の成功人生語り、みたいな感じか。よくあるタイプの講演(ざんねんタイプ)。高校生へのアドバイスが「塾に行け」「私大希望なら苦手教科は捨てろ」「官僚目指すなら大学入った後ダブルスクールしろ」だったのが高校の先生たちにはどう映っただろうと思いました。高校生たちのご家庭の金銭事情がさまざまであることとか、高校の先生たちの気持ちとか全然頭にないんだな、というのが第三者の私が感じたところ。とにかく自分が強い。
ちなみに彼の話のヤマは、国会議員の祝賀会の二次会の幹事(一切を取り仕切った)をやったこと、でした。
かくて、講演会は終了。
私たちほぼ出番なしだったのですが、帰るときに高校の先生が
「去年の講演会は電〇のひとだったんですよね…そのお話がそりゃもう上手で拍手喝采だったんですけれど…」
講演会なるものがちょこちょこあるらしく、他にどんな方が、と聞いたら数か月前にはH●NDAの方がいらしていた。それも技術方面の話で面白かったらしい。あー…。
あやまる立場じゃ全然ないけれど、ごめんなさいをしました。大変でしたね、大変ですよね、と気持ちを共有し合った。
この時はアンケートなどは先生方が一切を集約されたと思うので、この後にいろいろあったのかもしれませんが私は知らない。
で、結論ですが、
祝賀会の二次会の幹事って、官僚のメイン仕事じゃないし「すごいでしょ」って自慢するようなことじゃないよね。ちなみにうちの職場だとくじびきで当たった人がするよ忘年会の幹事。
でも、たぶん彼らは本気の本気でこれを「すごいでしょ」と自慢しちゃっているのだ。首相の隣で花束を渡したことや国会議員の二次会の幹事をやったことを。それは。
それは、はだかの王様だ。
私たちは、彼らがそれを自慢することを否定はしないから、きっと王様たちはずっと死ぬまで王様のままな気がする。
否定をしたらきっと「これだから下々の者は(この素晴らしさがわからないんだな)」ってなりそうだなとも思う。永田町には人の心を狂わせるような磁場的な何かがあるのかもしれない。
哀れだ。と、思う。
せめて、良識ある磁場に狂わされていない友人に恵まれていて欲しいと願っているし、その意見にきちんと耳を傾ける良心があってほしいと、遠くから願っている。
本音を言うと、無駄に仕事増えるからもう来ないでとせつに願っている。