舞台、ロスメロスホルム。森田剛さんと三浦透子さんが主演。
今までネタバレをしないように舞台の感想を述べていた私だが、今回ばかりはネタバレなしではどうしようもない。無理だ。この作品について何かを語ろうとするとストーリーに触れざるを得ない…!
というわけで、今回はストーリーについて、フューチャリングどころじゃない私見入りまくった感想を述べたいと思います。
あちこちの前評判で「ストーリーが難しい」「難解」と言われてて、大分身構えて行きました。
森田剛主演だろ??初手からハッピーエンドなんて思っちゃいないぜこちとら!(でも大団円の超ハッピーエンドが激烈に観たいぜ!そこんとこよろしくな!)
私は森田さんのことが好きなんだけど何だったらV6の中で彼のことが一番好きかもしれないくらいファンなんだけども、実はファンクラブに入っておらず、チケットはぴあで購入した人です。くー(苦肉)。えっと、遠くからでもかっこいいからいいの。しばらく様子見なの。だってファンクラブの年会費が高いの。そして田舎住みだからファンクラブに入っていてもなかなか恩恵に預かれないの。
あと、他のファンクラブに入りすぎているの…。
さて、本題です。
あの「人形の家」のイプセン作、ロスメルスホルム。ロスメルの家。
あらすじ。
時は1880年代。ロスメル家。
当主ロスメル(感情が表に出ないがピュア)と、家政婦、下宿人レベッカ(三浦透子さん)がその豪邸に住んでいる。このレベッカは元はロスメルの病弱な妻の話し相手として妻の兄が雇った女性。自由主義を唱える彼女は彼女の思想に共感するロスメルと共に活動を起こそうとしているのだが…
・・・ええとこれから先は、いろいろ内容に深く触れていますので、ご注意ください。知りたくないひとは見ない。世の中には見ない方がいいことだってあるからね!
で。舞台である。内容以外のことからいこう。
前半、20分休憩(あれ15分だったかしら)、後半。全然内容と関係ないけど、前半の後、真っ暗のスクリーンに休憩20分、って出る、その出方が「ヒメアノール」で怖いー、となったのは私だけじゃないはずよ。
ロスメル家(古いお屋敷。なんだったら城なのかも)に窓から入る、または灯される光の加減や角度が抜群に良い。今年のマイベスト照明…(惚れ惚れ)。
そして膨大な台詞量。いやもう怒涛の台詞…動きが少ない、セリフ劇…イプセンは鬼か鬼なのか。しかもその長台詞が哲学的で内容がひたすらぐるぐるしておる!
私なら多分途中から無限ループに入る…さらに薄暗さと相まって、隣の人、前半ちょっと、一瞬だけ寝てた…!(チクる)
前半が長くぐるぐるして、後半が一気。
さて内容。
難しい、と身構えて行ったこともあってか、実際にはそう難しいと感じなかった。
押さえておくべきは、
ロスメル家だけでなく、当時の名家って、伝統と格式と長い歴史と厳格さでもうがんじがらめでお先真っ暗の牢獄なことと、
この時代、ヨーロッパ(ノルウェー?)の宗教とか宗教観って、もう「人としての倫理観」とイコールなんだな、と思った。
そりゃ牧師でもあるロスメルくんが「宗教を捨てる」って言ったらそりゃもう大スキャンダル、えらいことなんだろう。
そんな二重のがんじがらめなのに、さらに自殺した妻の自殺とその理由(だとレベッカが思っているもの)ときたらもうロスメル愛されすぎて呪われている。
登場人物のほぼ全てがロスメルを愛していて、いろん忠告だったり行動だったり告解だったりしてくる。それゆえにさらに翻弄され悩み苦しむロスメル。
愛されキャラなんだけどな、ロスメル。ピュアさが相まってちょっと「金閣寺(森田剛主演)」を思い出した。
でも金閣寺の主人公とは違い、ロスメル自身は周囲の人に好意は抱いているが、妻のこともレベッカのこともあまり愛していない感じがするのがすごかった。女性陣の取り扱いが杜撰よロスメル。
そのロスメルがいろんなことを乗り越えたり、どうにもならないことを飲みこんだりしながら愛を始める物語だったと思いました。
終わり方が、続きを予感させる感じなのもよかった。私は乗り越え飲みこみ進んでいく二人が見たい。
いやもう何度も言うけども、ただただ台詞の膨大さに脱帽です。
動きの少ない劇であれだけ抑えた動き、トーンで感情のゆらぎがあれだけわかるというのがただただ役者さんと演出ってすごいなあ、です。
あと、立ち姿がみなさん大変美しい。
ぜんぜん難しくなかった。
いいものみたー!また観に行きたい。