のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

2021年3月13日夜、14日昼、舞台「Oslo」観劇。ネタバレはないと思う。配役くらいかな。

 V6が解散を発表した。それはそれだけで別に書き記しておきたいので今回は書かないのだけれど、さてそもそもこの解散について私は書ける日がくるのだろうか、書きたい気持ちはあるが今までだってV6について書こうとするとざぶざぶと愛が溢れ先行していってしまうため、イマイチ上手くいっておらず…ってもうすでに前置きで愛が重たい。いかん。

 

 先を急ごう。

 まあそんなわけで解散発表の翌日、坂本さん主演の舞台「Oslo」を観劇しました!

 解散発表直後だったので、私はもうとにかく坂本さんが笑っているといい、観客に「申し訳ない」と思わないでほしい(舞台関係者には思っていてもいいと思ってるけども)、ともう本当にそれだけを願っていて、途中ではたと我に返って自分のいじらしさに驚いたりなどしていた。イイヤツだな私(自分で言うスタイル)。

 何というかな、息子にな、

「母ちゃん、オレこのうち出て一人でやっていくよ!」って思いがけず言われた母の気持ち…いや息子いないけど…つうかそもそも独身だけど…なんか、なんかそんなような!(伝われ)

 門出を祝ってやりたい、いやむしろ祝わねばならん、けれど心の整理がおいつかないいつから考えてたのお母さんは知らなかったよ!寂しいよう!いやだいやだ息子出て行かないで言えないけど!的な!なっ!(伝わらない)

 というわけで「申し訳ない」じゃないんだ、それは「V6」さんたちの人生の選択の一つなんだ。私としてはむしろ今までの健闘を称えたいのだ。ああだがしかし、思いと気持ちがせめぎ合って感情が不安定!

 

 ……しみじみと愛が重い。わかってる。ノンストップ愛。

 

 いや、話を観劇に戻そう。

 Oslo。オスロ合意にこぎつけるまでの話。高校の世界史で習った。根深すぎるパレスチナ問題。イギリスが悪いと思うんだけどイギリスは今回蚊帳の外。

 紛争絶えないイスラエルPLOパレスチナ解放機構)が双方の合意の下、協定を結ぶまでの話だった。が、このざっくりあらすじでも予測できる通り、
 ほぼ全ての登場人物、専門用語の長台詞が繰り出されまくる。ひどい!大変!アラビア語やらフランス語やらノルウェー語も!

 これ、セリフ覚えるの相当大変だったのではなかろうかとついつい心配した(←無駄な心配)。私なんてね、先日職場のイベントで100文字くらいの原稿覚えるのさえできなくてね、泣きそうだったよ!すごいなあ役者さんたちは!


 13日夜の部は、席の位置の関係かもしれないが、ステージと近かったけれど声が聞き取りづらいところがあって「ん?」となってしまったけれど(14日2階席は全然大丈夫だった)、重たいテーマなのによい意味でテンポよく重たすぎることなく余韻の残るラストに持っていくところがよかった。また、光の演出がキレイで、特に14日は2階席だったため、壁に映る影だけでなく、床に映る光と影も視界に入れることができてとても面白かった。ラストは言うまでもなく、前半最初の壁が変わっていく様子と、前半最後の雪の残る地面の光がとてもよかった。これから見に行かれる方は見てほしいなあと思う。

和平交渉の仲介役(中立国ノルウェー組)

クレバーで情熱家で穏やかでキュート。モナ(安蘭けいさん)とテリエ(坂本さん)。ヤン(河合さん)、女料理人のトリル(那須佐代子さん)、その夫(石田圭祐さん)もそう。何だろうか、良い意味で平和な国で平和に育ってきた人、というような根底の「穏やかさ」があって、それとイスラエルPLOの人たちとの対比が面白かった。
 また、そういう人たちでなければこの「仲介役」は難しかったろうと思う。舞台という場だったからかもだけど、第三者的立場で、損得なしに、誰かのために動く、ということが重要だった。しかし、国家規模となるとそれがいかに「希少なこと」かということも同時に理解できる。自分の身を危うくしてまでそれができるって相当な情熱ではないか。 

PLOイスラエル
 深い傷。殺戮の続く日常が彼らを追い込んでいる。

PLO

 アフマド(益岡徹さん)は板挟み感がすごい。焦燥と政治家としての理性の裏に悲しみがある感じ。交渉人としては適任だったんじゃないかと思う。アラン(石橋徹郎さん)は逆に現状のどうしようもなさと不平等に対して激しい怒りがある感じ。

イスラエル

 ウリ(福士誠治さん)、シンガー(佐川和正さん)。尊大だったのが次第に交渉相手に敬意や友情のようなものが芽生え始めるのが良い。お互いに同じように傷を負っている、というのがこの交渉の間にわかった、という感じ。食えない感じではあるけども。

  そしてヤイル先生(相島一之さん)とロンくん(先生?)(河合郁人さん)。

 ヤイル先生はいるいるこういう先生、という感じ。自分にできることがあるなら協力したい、という情熱がいい。ロンくんはあまりよくわかっていない感じが多分あの場には良かったのだと思う。彼らがいることで舞台が重たくなりすぎない。いい。

 その他で言うならば

 後ろ姿(シルエット)だけで坂本さんがどこにいるかわかる私ってどうよ(愛が重い)とか、福士さんもめちゃスタイルいいな!とか。あとあれだ、坂本さんはロングコートが似合いすぎる…。
 あと、河合くんがリュック背負って歩くのかわいいなとか(大きい人だと思っていたのだけど、小柄で驚いた)(でもすごい舞台は向いてるように思う。声がいい。身体能力が高そう)。そういえば二役やってた人たちが全員全然別人に見えてた。後でパンフレット見て「あの役とこの役は同じ人がやってたんだ!」ってなった人たちもいて、役者さんってすごいなあ(二度目)。

 そういえば場所の転換とか時間が前後したりとかあったんだけど、あまり違和感を感じなかったなあ。というのも。演出か。演出ってすごいなあ。

 

 舞台を最後まで観て、
 先日長崎県立美術館常設展で見た、パブロ・ピカソの「鳩のある静物」という絵をふと思い出した(こちらの鳩は死んでいるのですが)。

 

 

www.nagasaki-museum.jp

 

 また、全然国は違うけれど、学生だった頃、パキスタンの教授の話を聞く機会に恵まれたことがある。

 彼の妻は当時パキスタンの大臣で、女性が昇進しやすい、何故なら男性には6年の兵役があるから、と笑っていらしたが、私達でも知っているような戦いの絶えない国だ。国も生活も、自分の生命でさえも常に不安定な国。そのせいか、彼は私と同じ門下の先輩、つまり「教授の教え子」のはずなのに、教授と同年代に見えるほど老けて見えた。

 英語での話だったので私の語学力で全て理解できたかというとかなり怪しいのだが、彼が私達、まだ何者でもない学生(しかも20人もいなかった)に話したのは「どんなに人種、宗教、信条が違っていても、人間は分かり合える」「そのためには対話が大切である。話して話して分かり合おうとする気持ちが大切である」だった。心からの演説だった。

 それも、思い出した。

 道はすでに指し示されている。鳩は死んでいない。

 とても力強いメッセージだと思った。人間を、その可能性と愛を信じている人の脚本だと思った。 

 

 

 それぞれの国を想うといろいろとせつない。

 私にも何かできることがあるだろうか。

 それを、それぞれが考えていかねばならないのだと思った。

 難しいテーマだったけど、すごい舞台だった。いいものみたー!

 

 

 蛇足だけど。

 私が見た2回とも、カーテンコールが2回。拍手、笑顔、お手振り、お辞儀。

 13日夜は福士さんに軽く肩を抱かれて袖へ。

 14日は袖に行くのを益岡さんが押しとどめて、坂本さんだけステージ端でお辞儀。

 

 私たちは、惜しみない拍手を。 私はこのタイミングで坂本さんに(いや本当は他のキャストの方々にもなんだけど)、じかに拍手ができることを幸運に思う。
 だがしかし、もー1階で見ても2階で見ても素敵ってどういうことだー!

 

 そしてやっぱり愛が先行しててまとまらなかった。無駄に長くてすみません。