のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

2008年6月、「第17捕虜収容所」を観る。

 というわけで大阪で舞台「第17捕虜収容所」を見てきました。


 もともと「お話」が好きなので、舞台とかミュージカルとかだってもちろん好きなのですが、いかんせん田舎暮らしのためこういう機会でもないと見に行けない(物理的・金銭的に)。
 個人的にハッピーエンドが好きなのですが、
 今回、ハッピーエンドでない(まあバッドエンドでもないが)お話にもかかわらすすごくまとまった良作だと思った。


 第17捕虜収容所は、ナチス政権下、ドイツ軍のアメリカ兵収容施設。
 企てられる脱走計画、何故か漏れている情報。
 この中の誰かが情報をリークしている…。
 スパイは、誰。


 みたいな。
 いやもうワタシときたら、見終わった後、余地を持たせたラストのおかげでこの後の未来を考えすぎてぐるんぐるんしてしばらく喋れない始末(しかも二日とも←二回見た)。
 
 以下ちょっとネタバレで。

 舞台の中、収容所所長以外悪人がいないんだ。

 短気だが陽気で仁義に厚いアメリカ人捕虜の面々。
 育ちがよすぎて世間に疎い、まっすぐな新参捕虜ダンバー。
 独房での過酷な体験のために閉じてしまった、喋らない捕虜ホーニー。
 自身の正義感や立場で友情と命を天秤にかけざるを得ない捕虜ホフマン。
 そして主人公セフトン。

 戦時下という特殊環境でさえなければきっと穏やかに暮らしていけた人たちなんだ誰も彼もが。

 ドイツ軍シュルツ伍長はアメリカを知っているだけにアメリカを憎む理由もなく。スパイにはクリスマスに「もみの木」を歌うような幸せな過去があり。
 罪の意識も恐怖も焦燥も、何も抱え込むことなく生きていけたはずなんだアメリカ兵もドイツ兵も。
 その道が絶たれたことこそが痛々しい。

 結果として脱走を謀るわけだが、
 セフトンはあの足で逃げ切れるのだろうか。
 なんかなー、途中でヤバくなったらさらっと嘘とかついて自分はオトリとかになって健康体なダンバーだけを逃がしちゃいそうな気がするんだ……!
 セフトンには帰っても待ってる人がいなさそうなとこがまたこの妄想に拍車をかける……!(だっておやじさんとセフトンには手紙が来てなかった…きっと二人とも待つ人いないんだ…)

 残った仲間も無事でいられる保障はないんだよ。
 ホーニーなんかは罪をおかした捕虜がどんな扱いを受けるかを知っているわけで。
 みんな殺されることを覚悟で逃がしたんだろうなあ…うううー。
 
 シュルツ伍長は最前線送りだし……。

 いかん、誰か一人でも生き残らないとこの話救いようがない…!!
 つうかセフトンも生き残ってほしい…!


 特殊環境では、その異常さに気づかぬまま、あっけなくすべてが狂ってゆく。
 ただ、そんな中、うごけない人々が「うごく」お話だったと思う。
 うまく言えませんが。


 あと全然本編にはカンケイないんですが、ちょっと気になるのが 
 セフトンの物持ち。あんたそれどうやって手に…!!(あわあわ)
 あと、となりの収容所に顔パスなところ。
「顔を変えろ」って言ってたけど、ええとどういうことだそれは看守に……ってことだよな…!(おぶおぶ)

 妄想で一人キョドるワタシ(危険)。


 えーっと、 
 ど根性でダンバーをけちょんけちょんにけなしながら、逃げおおせて欲しい。ダンバー、セフトンをよろしく。  


 自分の中で補完ができたので二回見れてよかった。より深く考えることができた。考え込みすぎるとどんよりするけど。
 あと投げチューがかわいかったっす…!
 次回舞台はどんなにベタでもいい、ものすごいハッピーエンドでひとつよろしく!!