のらりくらり日記

世の中のいろんなことにひっかかりつつ流される備忘録。好きなものを好きといってるだけ。過去の観劇日記もこちらに置いてます。科学系の話も少しだけ。

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 6(最終回)

6.マスクは何のため?

 さて、最後です。予防や医療と関係ない話をしたいのに、この第6回だけが「予防」の観点に立ってます。タイトルに偽りあり。でもまあいっか。

 結論から言うと、マスクの目的は2つです。

1.むやみに顔を触らないため

2.心の安定

 

です。終わりです。

1はもうよいですよね。インフルエンザも新型コロナウイルス飛沫感染するって言われてて、ということは避けなきゃいけないのは「近距離での会話・咳・くしゃみ」と、「不特定多数が触ったものを触った手で口・鼻及びその周辺を触らないこと」なので、マスクしてると周辺触らないじゃーん、ってことです。

 

2.は、安心を得るため、ということです。マスクしてたほうがなんとなく安心する。予防してるっていう気がする。私もするもん。
 あと「自分が周囲に飛沫を飛ばす」ことを防ぐ効果は確実にあります。ということは自分の大事な誰かに自分が感染させる可能性を下げることができる。ちょっと安心。

 もう一つ、マスクしてる人を見ると「ああ、あの人は自分が持っているかもしれないウイルスを私(を含めた周囲の人)うつすまい、としているんだなあ」としみじみするのも精神的にいいと思います。楽しい気持ちや笑顔は免疫力アップにつながります。心の安定は大事。

 ちなみにリアル友人に質問されたけど、ウイルスをカットできるマスクとかはない。宇宙服レベルですそれ。そしてそんなマスクあったら多分呼吸が相当しんどくなると思う。

 

 というわけで、マスク、あったらしたほうがいいと思います。布マスクは軽く洗うといいよ。ちゃんと干してね。アイロンかけてもいいと思う。

 

というわけで、全6回、長々とお付き合いいただきありがとうございました。予防にも医療にもあまり関係ない話をしましたが、ニュースを見て疑問に思っていて、でも図書館に調べに行けないわって思っている人がきっといると思って書いてみました。知っていると何が正しくて何が間違っているかを判断する材料になります。判断できればデマや噂に惑わされにくくなります。早く穏やかな日々が戻ることを願って。

 皆様、どうぞ体調にお気を付けください。私も気を付けるー!(手をぶんぶん振っています)

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 5

5.抗体検査とは何か

 

 2月以降、ゲットしていた3種類の舞台公演がことごとく中止になりその返金手続きに追われているしむらです。ごきげんよう。そしてまたね、もりたさんながのさんさかもとさん…(こんなときだけ抽選に1つも外れていない人)

 

 …さて、気を取り直していきましょう。抗体検査です。たびたび物議をかもしていますね。

 ただどうやらインフルエンザの簡易検査と同じようなもの、という誤解があるようです。

(1)インフルエンザの簡易検査とは何か

インフルエンザの簡易検査は、インフルエンザに感染している可能性のある人になされる検査です。大きな綿棒みたいなもので鼻の粘膜を採取し、そこに目的のウイルス(インフルエンザウイルス)があるかどうかを判断します。
「抗体」という、ウイルスに敏感に反応するタンパク質を利用した検査です。
 たくさんウイルスがあると反応します。精度はかなり良いです。
 が、この日記の「予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしたいと思う2」で話しましたが、ウイルスは「① 細胞内に入る」→「② 増える」→「③ 細胞外に出る」を繰り返して増えていきます。この検査だと「粘膜(←細胞じゃない)内のウイルスの有無」を調べますので、③の状態にならないと陽性反応(ウイルスがいるよという反応)が出ません。しかも「たくさんのウイルス」に反応しますから、何度か①~③を繰り返す必要があり。つまり感染初期だとウイルスを持っていても結果が出ない可能性があるので「また明日検査してみましょう」とか言われたりします。
 ちなみに抗インフルエンザ薬の「タミフル」や「リレンザ」などは、日本においては原則としてインフルエンザと診断された人にしか投薬されません。
アメリカとかだと家族が感染してると予防薬として処方されたりする)

(2)今噂になっている「抗体検査」とは何か

 抗体検査はその名前の通り「抗体が血液中にあるかどうか」を検査するものです。「抗体」というのは、「生物が体内で作る、病原菌やウイルスを捕まえるタンパク質」のこと。特徴としては、病原体ならばどれもこれも捕まえるわけではなく、ターゲットになった病原体のみを捕まえることです。つまり新型コロナウイルスには「新型コロナウイルス用にあつらえた抗体」を体内で作り出してる、ということです。

 作り出す抗体は5種類。Ig(アイジー。イムノグロブリンの略。免疫グロブリンとも言います)、A,D,E,G,M です。ここではその性質上、GとMについてお話します。

 一番有名なのがIg Gです。大体「免疫」とか「免疫グロブリン」と言われたらこのIgGを指しているといって過言ではないでしょう。血中抗体の中で70~75%を占める量で、病原体に感染すると数日で体内にて生産、7~10日で量産されます。

一方IgMは、血中Igの10%を占め、感染後すぐはたらきます。

 このIgMとGが血液中に存在するかを検査するのが抗体検査です。

 それぞれ感染初期→IgMを調べる
感染から時間が経過している→IgG を調べる

 という感じでしょうか。検査2回。必要なのは血液2滴。

 

 精度は前述したように100%ではありません。世の中に絶対はない。
また、「新型」なのでこの抗体検査の精度に関しては正確な数字がわからない、信ぴょう性が疑わしい、ということがデメリットでしょう。(PCR検査は精度についての大体の数字が出せています)
個人的には、世の中に抗体検査キットが出てきたのが速すぎることがひっかかっていますがまあまあ…。
でもメリットも大きく2つあります。

1つは、検査結果が出るのが速いことです。その分陽性の患者さんの隔離を迅速に行え、二次、三次感染者を防げます。
2つめは、血液を検査することです。抗体は血液中にあります。血液1滴でわかります。
新型コロナウイルス飛沫感染(または空気感染)と言われていますから、検体採取時の、検査をしてくださる医療従事者方々への感染リスクを劇的に低くできるはずです。

 この「抗体検査キット」を、白衣で有名な「クラボウ」さんが今超特急で製造してくださっています。他の追随を許さないくらいぶっちぎりで迅速なのは、おそらく感染拡大のニュースが出る前から、似たようなウイルスについてたまたま研究なさっていたのだと考察します。加えて、かなり特殊な製造設備が必要なのですが、それをお持ちだからだと思います。ともかくもがんばってほしい。

(3)おまけ。リアル友人に聞かれた「ワクチン」や「簡易『ウイルス』検査キット」について

 ワクチン(予防接種)はいつできるか。

 ワクチンはできます。ただ抗体薬とかワクチンとかの製造は特殊な設備が必要です。

そして世界的にその製造設備の不足が指摘されていますので、量産がどのくらいうまくいくかもなかなか難しいところですが、
ワクチンの製造は新型ウイルスが出てきてから最短6か月と言われていますので、早くて7月頃の登場になるのではと思います。ただ、奇跡的に超絶うまくいって「6か月で開発成功」ってことです。そのあと臨床試験とかいろいろあるから市場に出るのはいつになることか、推して知るべしです。また、長い目で見ると、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスのように次々と変異していくと考えられますので、かからない(かかっても重症化しない)ようにするためには今後定期的に予防接種を受ける必要が出てくるかと思います。

 

「簡易『新型コロナウイルス』検査キット」はできるか。

 こちらもできると思われます。ただ、まだまだ先だと思いますし、製薬会社も売れる見込みのないものは作りませんから、そこの見極めを各製薬会社がどうとらえているかによると思います。

 ちなみに前述しましたが「新型コロナウイルスをやっつける新薬」を1から作るとなったら最短でも10年はかかるかと…。なんか…希望のあるようなこと言えなくて申し訳ない…。

 

 以上、第5回目終了です。ご清聴ありがとうございました。みなさまお体気を付けてくださいね。

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(閑話休題)

閑話休題

 今回の「予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う」を書くにあたり(いやまだ書いてる終わってはいないけれども)、参考にさせていただいた本や情報をご紹介します。本は全部手持ちなので全て日本語本、かつ新旧あります。「1行だけ確認した」「見たけど参考にしてない」ものは割愛しました。また、オススメには☆をつけています。

(1)参考書籍

・カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第2巻 分子遺伝学  D.サダヴァ他著 講談社ブルーバックス

・カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学  D.サダヴァ他著 講談社ブルーバックス

☆新・現代免疫物語「抗体医薬」と「自然免疫」の驚異  岸本忠三/中嶋彰著 講談社ブルーバックス

・新しい自然免疫学~免疫システムの真の主役~  坂野上淳 著  技術評論社

☆Newton別冊 慢性疲労から最新がん治療まで 体のしくみと病気 ニュートンプレス

微生物学 入門編  R.Y.スタニエ他著  培風館

 

(2)参考サイト

厚生労働省  https://www.mhlw.go.jp/index.html
ちょっと目的の文章を探すの大変だけど、最新情報と正確性については間違いないかと。

☆日本環境感染学会 http://www.kankyokansen.org/

 コロナウイルスに対応する医療関係者のみなさんに向けての対応ガイドがいいなと。

中外製薬  https://www.chugai-pharm.co.jp/index.html

 ここの患者さん・一般のみなさんのページがわかりやすくて面白かった!

大塚製薬  https://www.otsuka.co.jp/

 売る気満々の姿勢がいっそもう清々しい。好きですよカロリー〇イト。

クラボウ  https://www.kurabo.co.jp/

 業界では白衣の会社として有名ですが、今や抗体検査薬で超有名になっちゃいました。

 

 勉強するのもなかなか楽しきものです。それでは引き続きお楽しみくださいませ。

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 4

4. PCR検査ってなに?

 というわけで4回目です。PCR検査。ご存じのようにウイルスに感染しているかどうかを調べる検査です。ではどんな仕組みなのか。


(1)とても小さなものを「見る」ためにはどうしたらよいか

感染している(陽性)かどうかは、このPCR検査結果を「見て」わかります。しかしウイルスはとてもとても小さい。では小さなものを見るためにはどうしたらよいか。
 答えは「たくさん集合させること」です。
 航空写真やドローン撮影などで、上空から大勢の人が作った人文字を撮影したりします。上空からだと人間は小さすぎて見えないのですが、たくさんがぎゅっとなってたら見える。
 同じようにウイルスもたくさんあれば見えます。というわけでまず「検査でわかるくらいに増やす」のですが、ウイルスを増やすのはすごく危険だし手順としてもすごく大変なので、ウイルスの中身、つまり情報物質だけ増やす、ということを最初に行います。この情報物質(正確に言うとDNA)を増やす方法を「PCR法」といいます。ちなみに高校で生物を選択すると理論は勉強しますし、キット(サーマルサイクラーとか泳動装置とか)は必要ですが、ものすごく高度なテクニックが必要なわけでない、比較的単純な方法です(この方法を閃いたマリスはこの功績でノーベル賞を受賞)

 ちなみに誤解してほしくないけれども、比較的単純だけど難しくないわけではないし、感染リスクを限りなく抑えながら検査するのには間違いなく腕がいる。

 だから検査は検査技師がやっているんです。国家資格は伊達じゃない。

 

(2)もう少し具体的に「増やす」方法
 今回のコロナウイルスやインフルエンザウイルスは主に気道を感染のターゲットにしています(ひどくなると肺まで広がる)。ということは感染者の気道やその周辺にはウイルスが多く存在するはずです(飛沫にも入っているしね)。ウイルスが多そうなところ、つまり咽頭などを大きな綿棒などでかきとると細胞(や粘膜)は採取できますので、それをまずゲットして、その中に含まれているウイルスの中身、つまり情報物質を増やします。
 しかしこのPCR法、同じ情報物質でもこれ(DNA)

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は増やせるけどこれ(RNA

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は増やせない。理由は壊れやすいから。
ですので、RNAを増やしたい場合は「増やす」前に準備として、RNAを壊れにくいDNAに変換する、という手順が必要です。逆転写酵素、という薬品を使うとそれが可能です。

(3)RNAをDNAに変換させて増やすイメージ図

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 これ、普通RNAからDNAになんて写らないんですよ皆さん!逆転写酵素すごい!その技術に拍手!

 そしてここまでがPCR検査の前半。

 

(5)後半は「目当てのウイルス」のDNAかを判断する

 前半で増やしたDNAですが、最初に採取した検体の中に入っている情報物質はウイルスのものだけではありません。

 私たちの細胞の中にもたくさんの種類の情報物質がありますし、もしかしたらそのときにたまたま吸い込んだカビの情報物質や検査前に食べたものの情報物質がくっついていることも考えられます。それらの情報物質(DNA)もまた、前半の作業で増幅されていると考えられます。
 そんなたくさんの「情報物質(DNA)」から「ウイルスの情報物質があるかどうか」を探すのが電気泳動という方法です。
「紫外線をあてると光る染色液」が入ってる(後で入れることもある)、やわやわのゼリーのプールの中を、前半で増やしたDNAに泳いでもらうのです。学校とかのプールを思い浮かべてください。DNAはマイナスに帯電しているため、プールに電気を流すと+方向に引っ張られて移動を始めます。大きさで速度が違います。小さい子が速い。大きい子は遅い。以下「イメージ図」

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 これが学校のプールならゴールまで泳がないとダメだったりしますが、この電気泳動では「限られた時間内でどの程度の距離を移動したか」が重要になります。

 というわけで、一定時間が過ぎると通電ストップ。そして観察になります。紫外線を当てると光る「イメージ図」

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 …すみませんケシゴムかけてたらちょっと紙がよれました。でももう書き直さない。

 あと、本当はもっと1つ1つが集団なんですがもう書き直以下同文。

 ええと、小さいものが長距離移動していて、大きなものが短距離移動。

 要するに電気泳動によって、情報物質をその大きさで仕分けできました。しかも見える。

(6)見えた「DNA」とウイルスのDNAとを比較する。

 ターゲットになっているウイルス(今だと新型コロナウイルス)がどのくらいの大きさかがわかっています。ということはこの「電気泳動」で泳ぐ距離もわかっています。で、
 泳ぐ距離が同じ=同じ大きさの情報物質=同じウイルス

 なのです。

 

つまりPCR検査とは、

・情報物質がRNAならばそれをDNAに変換する

・そのDNAを増やす

・大きさで分ける

という3つの作業で成り立っています(ウイルスによっては一番上の工程がない)。

 ではその正確さ(精密度)はどうかというとまあ当然ですが100%ではありません。そこそこです。70%程度と言われています。

 当然なのでもう一度言いますが、世の中には絶対なんてないのです。

 最初にとってきたサンプル内にどのくらい遺伝情報が入っていたかわからないし。技術とかちょっとした条件とか、まあいろいろと検査結果をグレーにする条件がたくさんある。こういうグレーゾーンの検査結果を「偽陽性」って言ったりします。

 でも抗体検査だってもちろん絶対じゃない。すりぬける人がいる、ということを忘れずに。三密ダメ。ゼッタイ。

 

 それから、わかっていることがある。
 前述したけど、感染リスクを重々承知で医療従事者の人たちがこの検査を今もなさっています。しかもキャパシティーを超える検査量をこなしていらっしゃる。それは仕事だから、では割り切れないような、本当に頭の下がること。

 検査をしていらっしゃる方々は、感染していない私たちのためにもまた活動していらっしゃることを私たちは忘れてはダメです。ありがたいことなのです。

 

 というわけで、次回は「抗体検査ってなに?」でお会いしましょうー。

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 3

3.アルコールとエタノールと次亜塩素酸水のちがいってなに?

 第3回目です。実は自分でタイトルを作っておきながら、今回だけはあまり詳しくない事柄なので、いつも以上に雑な内容になるかと思います。途中わからないことは私じゃよくわかんない、って書いてます(あ)。それでもよければよろしくお付き合いください。

 また、前回が意外と好評だったので気を良くしました。気を良くしたので、最後の⑦(一般的なウイルスの広がり方)のオマケとして特別バージョン、

⑦‘ 特別編 動物の細胞だとこうだヨ☆

 を前回の記事に追加しました。ご査収ください。では今回も始めましょう。3つの消毒液「アルコール」「エタノール」「次亜塩素酸水」のちがいについてです。

(1)「消毒用」アルコールとエタノールはおなじもの

 まず結論から言うと、普通に売っている消毒用アルコールと消毒用エタノールは同じものです。消毒用、というのは何かというと、菌類・細菌類・ウイルスをやっつけるのに最も効果的な濃度に調整されているものだ、ということです。親切。
 ちなみに普通手に入りませんが工業用アルコールというのもあります。これは前述した2つとは違う、メタノールメチルアルコール)というものです。消毒用としても飲用としても利用しないでください。大変な目に合います。
 同じものならなんで呼び方を統一しないの?とリアル友人に質問されたのでここでも解答するならば、化学や科学を専門にお仕事をしている人たち、この消毒液をつくっている人たちなどにとってアルコール、というとエタノールメタノール両方、加えてその他のアルコール類を含めたものという認識なのだと思います。同じ分類、けれどそれぞれは似て非なるもの。そのため、そういう人たちが「アルコール」って聞くと

あのボトルに書いてある消毒用「アルコール」は違くない?あれはエタノールでしょ?みたいになっちゃう…のかなと。
 例えると、「誰のファンなの?」と聞かれているのに「ジャニーズ」と答えるのは何か違う、と私が思っているのと同じです。(たとえがわかりにくい)(そして私はもりたごうがすきだ)(話がそれている)

ただ、一般的にはエタノールよりもアルコールの方がよく理解されているのです。というわけで「市販するんならわかりやすいほうがいいじゃないか」ということでアルコール、という表記のものもあります。
 ちなみに私はどっちの呼び名でもいいと思っています。だって中身は同じ(雑)。
 というわけで、注意としては薄めたりしないことです。薄めると効果が激減します。あと消毒用は高濃度ですので飲んだりしないでください。これでうがいとかしないでください。危険です。あと良く燃えますので火の近くに置いたり、近くで使ったりしないでください。危険です(大事なことなので2回言う)。もう一つ言うと、アルコールなので、すぐ気化します(つまりすぐ気体にかわる)。気化するときに、周囲の水分も一緒に気化させてしまいます。ということは消毒するたびに必要な水分がどんどん奪われていきますので保湿してください。消毒→保湿 の順番ね。クリームぬる。「キレイ」をつくるのは「あきらめないこころ」だと私のメイクの先生が言っていた(名言)。

 

(2)消毒用アルコール(エタノール)はどうやってウイルスをやっつけているか

簡単に言うと、エンベロープ(2枚の膜の外側のほう)を壊します。
 ウイルスはこの状態

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初めて、細胞の中に入って増殖できます。ある一定以上増殖されちゃった生物には、何かしらの異常が生じます。つまり、ウイルスの外身(カプセル)と中身(情報物質)、そのどちらが失われても感染は不可能になり、ウイルスとしての能力は失われてしまうということです。というわけで、消毒用アルコールは時間も取られないし取り扱いもカンタンだし効果ありです。万能?イエイエ。
 消毒用アルコール(エタノール)は、エンベロープを壊します。つまりこれ

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には効果的ですがこれ

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には効果がありません。
 コロナウイルス、インフルエンザウイルスはエンベロープを持っています(つまり消毒用アルコールは効果がある)。
 対して、感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスロタウイルスエンベロープを持ちません(つまり消毒用アルコールは効果なし)。

(3)次亜塩素酸水とは何か

 えーと、塩酸(HCl)または食塩水(NaCl)を電気分解して作った、HOCl の水溶液で、消毒用にpH(酸性とかアルカリ性とか。水溶液の性質)が弱酸性に調整してあるにくいやつ。


 これを知った私の感想。

 この物質、めちゃ不安定じゃないのかな!ボトルとかで置いておくと殺菌力なくなりそう!です(←役に立たない情報)。

 次亜塩素酸水に含まれているCl(塩素。ほんとはイオンの状態)の酸化力でウイルスの外身も中身も壊せます。そしてスピード消毒スピード気化。pHが弱酸性なので、皮膚にもやさしい(私たちの皮膚も弱酸性)。弱きを助け、バリバリ仕事して、終えたら素早く去っていく感じがカッコイイ。

 次亜塩素酸水、よくわかってなくてごめんなさい。

 

(4)私も間違えていたけれども次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム水溶液は違うもの

 そう、次亜塩素酸ナトリウム(ご家庭にある漂白剤。ハ〇ター。)と、この次亜塩素酸水は違います。
 広い意味では「次亜塩素酸ナトリウム水溶液(つまりはハイ〇ー)」も「次亜塩素酸水」って言っちゃうので、紛らわしいことこのうえない。私も超勘違いしてた。市販されてる次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム(ハ〇ター)は違うもの!
 次亜塩素酸ナトリウムは皮膚が荒れるから体には使えないけど、市販の次亜塩素酸水(消毒用)は皮膚に使える! 以上報告です!

ただ、漂白剤の成分でもある、この次亜塩素酸ナトリウムにも消毒作用があります。水に溶けた状態でウイルスの中身も外身も壊します。つまりウイルス全般に効果あり。
 ただ、ハイ〇ー原液は消毒目的のためには濃度が高すぎるため、用法容量を守って薄めてください。ちなみに「1Lの水に8mL原液」のようです。ちなみに薄めて使っても「漂白剤」は漂白剤なので、色抜けや金属がさびさびになったりプラスチックは劣化しちゃう可能性が高い。ので使い勝手はちょっと…。使った後は水拭き、手洗いをしてね。
 漂白剤は普通にご家庭にあるし、安価だし。消毒液が手に入りにくい昨今、お助け消毒液な気がします。ちょっと塩素臭がするけどドンマイ。

(5)意外とあるある

紹介したいずれの消毒液も「付着しているところ」に噴霧、もしくは拭くことでウイルスを壊します。逆はないです。
 消毒液を噴霧または拭いたところにくっついたウイルスが壊れる、なんてことは限りなく「ない」ことです。だってこの消毒液たち、もれなく「気化」してどっかいっちゃうので。気持ちはわかるけどね!

 

詳しくないのに長々と失礼しました。

ちなみに私は消毒用アルコールを使っています。理由は効果的かつ楽だから。

あと、塩素に弱いので次亜塩素酸水を使うのはちょっとためらう。というかそもそも買おうにも今手に入らない。でも流水だけの手洗いでもかなり有効なんだよ。ごしごししてね。

 

 ではまた次回!

 

追記。この記事を書いた後(現在R2.5.10)、次亜水を使う機会があった。正確に言うと、次亜水とは知らず、ある店の入り口にあった「消毒用」と書かれたスプレーを手に噴霧したのだけれど、正直に言うと、

 これ、本当に中身消毒液かな?

 と思った。いい意味でも悪い意味でも、使用感がない。ということは、こうやって店頭に置いてある場合、中身が次亜水なのかただの水なのかもしくは別の何かなのかはわからない。

 結論。私見だけど、現段階ではやっぱり消毒するなら使用感とにおいである程度「消毒できてる」と感じられるアルコールがいいや。前から使ってるしね。

予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 2

2.「新型」コロナウイルスだと何が怖いの?

(1)そもそもウイルスが怖い理由

 ウイルスは「タンパク質のカプセル」と「情報物質」の2つのみでできたものです。ただ、あえて言うならもう1つ持っているものがあります。それは「目的」です。ウイルスは「目的」を持ちます。目的はズバリ「増えたい」。これにつきます。
 しかし、前回書きましたが、ウイルスはそもそも自分で増えることができません。ではどうやって増えるか、というと、新しいウイルスを作るための材料やエネルギーを生物(細胞)から奪って増えます。いわゆる「感染」です。

 ウイルスは小さいし、成分が生物と似ているので、生物の体内やら細胞やらに入り込んでも意外とバレません。

というわけで、よくあるウイルス感染の様子を擬人化した7枚の超大作イメージ図を作成しました。
 これです。見て。

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力作です。・・・みなさん大人の嗜みです。何も言ってはなりません。耐えてください。悪口は私の見てないところでよろしく…!ちなみに縮尺まるっと無視してます。ウイルスは細胞と比べるともっともっと小さい!

で、何が言いたいかというと、ウイルスは「増える」という目的のたためにどんどん目的の細胞内に入ってどんどん増えてどんどん細胞を破壊していきます(ウイルスによっては破壊しなくても症状が出るものもあります)

そこそこ壊れるとようやく体も異変に気付き、何らかの症状が出ます。「感染」したことで異常が感じられる、それが「発症」です。

 ちなみにウイルスによって「好きな細胞の種類」があります。

 余談ですが、インフルエンザウイルスに効果的な「タミフル」などのお薬(抗ウイルス薬といいます)は、⑦の「細胞の外に出る」ことを阻害します。ナイスセンス…。

 

(2)「新型」コロナウイルスの怖い理由

 コロナウイルスエンベロープあり+RNA というウイルスです。つまり

これ

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が入っているこれ

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です。

「新型」なのでどんなにえらい研究者でも、どんなウイルスなのか知りません。

 どんな人が重症化しやすいとか、感染者の何人くらいが亡くなるかとか、どんな風に体内に入ってうつっていくかとか、どんな薬ならこのウイルスをやっつけられるか、とか、そういう戦う上で最も重要な「敵の情報」が全部わかりません。わからないのでこのウイルスをやっつける薬はまだありません。

 ですので今、世界中の研究所や病院では、今ある、『他のウイルスをやっつける薬』の中にこの新型コロナウイルスをやっつける力のある薬があるのではないか、と探しているところです。
 どうやらアビガンという別のウイルスのために作られた薬が効果的だったようですので大変ありがたいことです(アビガンは上図の④を止める作用があります)。効果のある薬が見つかったことで、この薬を改良し、今度はもっと「新型コロナウイルス」に効果のある薬を作ることも、もしかしたらできるからです。それは新薬を1から開発するよりもはるかに時間短縮につながります。
 なお、新しい薬を1から開発する、ということも進められてはいますが、実現したとしても病院で使われるようになるまでに最短でも10年はかかると思われますので今は考えないことにします。知りたい人は別サイトで調べてね。

 

 では、今感染している人はどんな治療を受けているかを推測すると、

高熱、咳、呼吸困難、肺炎という症状がみられることが分かっていますので

 熱を下げる薬、咳をやわらげる薬、肺の炎症をやわらげる薬、呼吸を助ける装置などが使われていると思われます。つまり「苦しい」「きつい」という症状を和らげる治療です。根本のウイルスをやっつける薬がまだありませんのであとは本人の治癒力と体力でウイルスをやっつけてもらうしかありません。そうなると、睡眠と食事はものすごく大事。あと予防ね、手洗いうがい換気。三密ダメ。

 ただ、新型ですが、わかっていることもあります。

・ヒトからヒトへ感染する

→ ということは、予防面で何を注意するとよいのかが明確です。

・多分飛沫感染(空気感染もあるかもと言われています)

→ 上に同じ。

・以前ちょっと流行したSARSウイルスとすごく似ている

→ これは研究者や医師にとっては重要情報です。特徴が似た何かがあると、比較ができたり、SARSの研究者と情報をやりとりしたりなど、研究しやすくなるからです。なんにせよ研究人口が増えるのは問題解決につながりやすくなるので良いです。例えるならば犯人の特徴がわかると犯人を捜しやすくなります。犯人が属する組織がわかると、その組織の一人一人を追っていた人たちと協力することができて犯人検挙につながりやすくなる、みたいな感じでしょうか。加えて研究費が多いといいと思います。

RNAウイルスなのでちょっとしたことですぐ性質が変わる

→ 性質が私たちにとって「良い」方向に変わるか「悪い」方向に変わるかはわかりません。実はそこもまた「怖い」と思われているところです。

 

というわけで、2回目も見ていただいてありがとうございました。3はまた後日。

 

 

 追伸。

 調子にのったので、上記⑦の別バージョン、「動物の細胞だったらこうなるよ」も上げておきます。ご査収ください。

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予防や医療とは関係のない、ウイルスの話をしようと思う(だいぶ雑) 1

世の中が大変なことになっています。ちょっとインターネットにつなぐとすぐにコロナウイルスに関係する情報が手に入ります。でも、ウイルスについてのことはあんまり書かれていない気がしていて、まあみんな興味もなさそうだし、ウイルスの専門家でもない私程度の知識じゃねえ、とかまあいろいろ思って黙っているつもりだったのですが、もしかしたら知りたいと思っているひとがいるかもしれない、と思いたち、ほんの少しだけ、私が知っている範囲だけここに書こうかと思いました。ほんの出来心。詳しいことが知りたいひとは別のサイトを検索するのがベストです。

 というわけで、書くのは以下のことです。

1.ウイルスってなに?

2.「新型」コロナウイルスだと何が怖いの?

3.アルコールとエタノールと次亜塩素酸水のちがいってなに?

4. PCR検査ってなに?

5.抗体検査ってなに?

6.マスクは何のため?

 

興味のある方はどうぞお付き合いください。

1.ウイルスってなに?

(1)生物とウイルスのちがい

 生物とは何かというと、ざっくり以下の3点に当てはまるもののことです。

・自分自身で生きるためのことができる

・情報物質(DNA)を持ち、自分の力で増える(自分と同じものをつくる)ことができる

・細胞でできている

(細胞・・・いろんなものが入った水溶液、が入っている水風船みたいなもの。水風船と違うのは、外側をおおうのがゴムでなく細胞膜という膜であること)(超雑な説明)

 

 ではウイルスとは何かというと、

・上記の「生物のルール」には、すべて当てはまらない

・めちゃ小さい(20~300 nm)

・タンパク質のカプセルの中に情報物質が入った「モノ」

 以上3つを満たすものである。

 大きさ20~300 nmってどのくらいかというと、とがらせたエンピツを紙の上にちょんと落として点を打ちます。その点の1000分の1~10000分の1くらい。千分の一なら大したことないじゃん、って思われそうですが、これは体積の割合でなく直径の比率ですので、全体の大きさとしてはこの数字を三乗分した体積になります。えーとえーと、つまりはきゃーってなるくらい小さい。きゃー。

 それからタンパク質のカプセル。卵の白身は「アルブミン」というたんぱく質だし、私たちの体の成分だって一番多いのはタンパク質です。これ自体は全然危険なものではありません。

 そしてカプセルの中の情報物質。これはDNAまたはRNAという物質で、これもすべての生物が持っているものであり、これ自体は危険なものではありません。異なるのは、私たちの体にはDNAとRNAが両方存在しますが、ウイルスはどちらか一方しか持ちません。

 

(2)ウイルスの種類

 ざっくり分けてみます。本当はもっと細かく分けることもできますがとりあえずざっくりと。ちなみに形で分けようとすると、〇だのとげとげだのいろいろあって大変なので外身のちがいと中身のちがいでウイルスを分類してみます。

 ウイルス=外身(タンパク質のカプセル)+中身(情報物質) です。

① 外身(カプセル)のちがい

2種類です。その2種類をキャラクター化した図を描いてみました。

これと、

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これ。

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わかります?私の絵が相当まずい、ということはわかりきったことですが、それをあえて口に出さないのが大人のたしなみです。そうでなく、外側を覆っているのが1枚か2枚かという差です。2枚着てる子の外側の膜をエンベロープといいます。2枚持ちだとその分いろんな能力を持ちます。が、ここではあまり関係ないので書きません。興味があるひとは別サイトで調べてね。ちなみに生物ではないものですが、今後の説明上擬人化しています。ちょっと悪そうにしてみたよ(画力)。

② 中身(情報物質)のちがい

 こちらも2種類なので、キャラクター化して図にしました。

これ(DNA)か

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これ(RNA)。

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画力の話はしないことこそ大人の嗜みです。むしろこの画力でアップした私の勇気を讃えてほしい。さて話を戻しましょう。

特徴としては、DNAくんの方が壊れにくいです(「物質として安定している」といいます)。

RNAくんの方は壊れやすいです。ただ、壊れやすいということは変化しやすいということでもあります。ちょっとしたことで状態が変化していくものです。

ちなみにコロナウイルスは、

これ

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が入っている

これ

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に当たります。

 

以上、ウイルスとは何か、でした。続きは

2.「新型」コロナウイルスは何が怖いの?

でお会いしましょう。ではまた後日。