今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」
というわけで思い出話をしたい。
うちの母は父親を中学三年生のときに亡くしている。ということはうちの祖母は三十代で未亡人になった人だ。外で働いたことのなかった彼女にとって子供を三人抱えてのその後の人生は相当な苦労の連続だったろうと想像に難くない。
そんな祖母は亡くなる数年前から認知症を発症し、物忘れがひどくなった。身内の名前を忘れることはなかったが、同じことを何度も尋ねたりした。
そんな中、お正月だったかお盆だったか、我が家から施設へ帰る日のことだ。
私と母がちょっとした父のミスを彼女の前で責めてしまった。まあ文句言ってたんだけども。
そしたら言うんだ。
「お父さんは大事にしなきゃなんないよ」って。
わかったわかった、とおざなりな私の返答を聞きとがめたのだろう、祖母は重ねて
「男の人には優しくしておかないとダメだよ」という。
なんで?って聞いてみた。彼女の回答は明快で素早かった。
「男の人はすぐ死ぬから」
丈夫なようでいて意外とすぐ死ぬんだそうな。
寿命も短いでしょ、って。
かわいそうだから生きてる間くらい優しくしてやれ、と。
母と二人して大爆笑。そしてなんか納得。
そうか、そうだよな、確かにそうかも。
それ以降、私も母もその言葉を時々思い出し、とりあえず思い出したら身近な男性にそれなりに優しくしてみている。カワイソウカワイソウ。
こういう関係をなんていったっけな…あ、ウィンウィン?
母は、とりあえずばあさまくらいの年齢になったら同じセリフを孫に言うと言っていた。
語り継ぎたい、ばあさまからのお言葉である。