今、普通に売られている健康食品の成分に関して、効果のあるなし(有効性)を評価した結果である。
一言でいうと、頑張ってる。すごい頑張ってるぽい。お金もすごくかかってるぽい。が、その情熱に対して、認知度があんまりなことになっていて何だかお気の毒な感じがするので
個人的にわかりやすくまとめてみようかと思い立った。興味のあるひとは本文をご覧になったほうが良いと思う。ここだ。
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin915.pdf
……なっ。開いてみたらわかる。もう一瞬で「あ、これ読まれないよね」って思う。
表紙も合わせて85ページって。いや専門家は読むと思うけど普通の人は読まない、その量だけでもうおなかいっぱい。
というわけでやってみる。
まずどんな研究だったかというと、2グループに分かれて、
1.海外での栄養系サプリメントの取り扱いの調査(対象:米中韓EU濠新日)
2.栄養系サプリメントの有効性について、科学的に根拠があるのか。
を調査した結果。
ちなみに1は、私も専門外だし、読んでみるともちろん国際基準みたいなものもあるんだけど、国によってそれぞれ法律が違うし、その法律がその国でどのくらい遵守されているかがわからないので割愛。でもやっぱりサプリメントの国はよく見直しがなされているし、国内で問題が多発してそうな国もよく政府が何らかの発表や改定案を出しているなというイメージ。韓国、カナダは少ないんだけど、それは関心が薄いからなのか、制度化しても浸透されないからなのか、わからん。
ただ、サプリメントを輸入するひととか、海外からサプリ買おうとしてる人は参考にすると良いと思います。個人的なことを言うと、欧米のサプリは全体的に日本人にはちょっと効きすぎる気がするので、子供用を買うといいんじゃないかなと思う(他国はよくわからんけど、アメリカには子供用があります)。
というわけで2を取り上げる。
対象は、11品目。
私もよくわかんないやつがあったのでちょっと調べてみたらまあ検索にヒットするヒットする。すごいんだなサプリメント業界!バカ売れだな!
どんな調査したかというと、国内外の有効性に関する論文のうち、信憑性が高いものを選別、その有効性を調査。論文のふるいおとしだけでも大変だと思うけどこれ、膨大な論文を読んでいるよ。
ちなみに、評価は4段階。
A・・・適切な摂取によって効果が期待される(用法要領を守って飲めば効く)
B・・・効果があるかもしれない(効く人もいるんじゃないかな)
C・・・効果はあるかもしれないが、実際のところはわからない(特に効果はない)
D・・・効果はない(効果があるというのは嘘じゃないかな)
です。では結果いってみよう。
※結果は全て経口摂取に対するものです。飲み薬の効果のみ。注射するやつは除外
対象成分 |
どんな物質? |
こういうキャッチで販売中 |
調査結果 |
セレニウム。無機物(ミネラル)の一つで、必須微量元素 |
ガン予防。その他抗酸化作用があるといわれている…ので老化防止とか疲労回復とか? |
前立腺がん B |
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n-3脂肪酸
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DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタ塩酸)、αリノレン酸 |
心血管疾患リスク軽減A 中性脂肪低下A 関節リウマチ緩和A 乳児生育発達補助B 心血管疾患リスク低減B(αリノレン酸) うつ病緩和と発生低下C 血圧改善C |
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カロテノイド(植物性色素)の一つ。 |
加齢黄斑変性信仰抑制B 白内障予防D |
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コエンザイムQ10 |
抗酸化作用。心疾患や高血圧の予防。 |
心機能改善B 高血圧の改善C スタチンによるコエンザイムQ10の欠乏状態の改善B
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関節痛改善効果 |
ひざ関節痛改善効果C 皮膚の保湿効果C 論文が少ない。研究者少ない。 |
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ブルーベリーエキス (ビルベリーエキス) |
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目によい。眼精疲労回復? |
視機能改善(視力回復・眼精疲労改善)C 血流改善D |
グルコサミン |
関節痛の予防と緩和 |
変形性膝関節症の症状改善B |
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分枝鎖アミノ酸 (BCAA) |
バリン・ロイシン・イソロイシン。筋肉を構成している必須アミノ酸の35~40%がこれ。 |
運動時(前とか途中とか)に摂取すると筋肉回復や増強に良い。 中枢性疲労(脳疲労。自分では気づきにくい疲労とされ、うつ病の原因ともいわれる)の軽減や改善、回復のスピードアップ |
筋タンパク質の合成促進、分解抑制B 運動による筋損傷、筋肉痛軽減B 運動疲労の軽減C |
イチョウ葉エキス |
元々漢方。お茶だと苦いぞ。 |
血流改善C 認知機能改善B |
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前立腺肥大の予防と改善。つまりは頻尿改善。薄毛にも効果? |
軽~中程度の良性前立腺肥大にともなう頻尿、排尿障害の改善B
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糖タンパク。母乳(ウシその他)に含まれる。 |
免疫力強化。貧血改善。腸内環境正常化。内臓脂肪の減少。 |
感染防御B 免疫調節機能向上B 脂質代謝改善D |
ちなみに、商品のキャッチコピーにはあるけど、調査されてない項目は「論文が少ない」「論文に信憑性がない」等々の理由で調査されていないもの。
まあリングにさえ上がれない些末なものですので、効果はないとみるのが良いかもしれません。
…結果を見たね。そしたらこの後が大事なので読んで。
・上記成分はあくまでも「食品」です。「改善効果」の調査なのだ。なので、病気を治す効果はないのです。病気のひとはちゃんと「医薬品」を飲んでください。
そんで、取りすぎたり、体質によっては副作用が出るひともいるのだ。具合が悪くなったらそりゃ自分には合ってないのだ。飲むな。
捨てるか、もったいないなら体質が似ていない誰かに「自分には合わなかったんだけど」と言って、あげるとよい。
・ちなみに、今回調査された中で有害事象(副作用)が論文になかったのはルテインとラクトフェリンだけなのだが、まだブームになってから日が浅かったり、
論文数の問題でそうなのかもしれないよ。なので気を付けるにこしたことはないのだ。
・有害事象は胃腸障害が多い。
・実際に売られている商品たちに、効果のある(純度と量)が含まれているかはまた別問題。生産や製造が不明瞭、不安なメーカーからは買わない。
そして用法用量は守って!
実際消費者庁のデータを読むとわかりますが、これらの成分がどんなメカニズムで効果を発揮しているのか、わかっていないものや、一部しかわかっていないものも多いです。
話は違いますが、今の「遺伝子診断」も同じです。この遺伝子を持っている人はこの病気になりやすい、というデータは出るのだけど、
この遺伝子持ってると○が作られないから×という病気になる、という科学的根拠はほぼわかっていなくて、
この遺伝子持ってる人は×という病気にかかっている人が平均より多いという統計学的なものなのね。
なので、今後この効果についてはひっくり返ることもあるし、この成分以上に効果のある何かが発見されるかもしれなくて、
それはまだわからないのです。また、プラセボ(偽薬)効果というのも無視できない。今回の調査でもちょこちょこ記載がある。病は気からのひともいる。そういうひとにはDでも確かに効く。それで快適な生活が送れるのであれば、そういう薬はやめるべきではないと私は思う。言うたらあれだけど、機能性食品なんてほぼプラセボ!
興味のあるひとはアンテナを張っておいてね。ということなのだ。そしてその信憑性も疑うとなお良いね、というかんじだ。以上だ。疲れた…。